椅子を拾う

 住宅街を歩いていると、1年に1回くらい「ご自由にお持ちください」という張り紙とつつましく並べられた不用品に出くわすことがあります。私はこういうのが割りと好きで、時間があれば足を止めてじっくり眺め、気に入ったものがあれば有難くいただいて帰ります。宝物を探すような、よその台所をのぞくような、なんともいえないわくわく感があります。

 今日、久しぶりに不用品の陳列を見つけました。しばらく考えて小さな椅子をもらって帰ることにしました。

 私の人生で椅子を拾うのはこれで3度目です。最初のはしっかりしたダイニングチェアで、アンティーク風に塗装して座面を張り替え、数度の引っ越しを経ていまは実家で使われています。次は電子オルガン用のシンプルな椅子で、台所でずいぶん活躍してくれましたが、当時の恋人が気に入って持って行ってしまいました。

 今回拾ったのはかなり使い込まれた感じの低い木のスツールです。物置にあったものなのか、埃だらけの傷だらけだし、釘が抜けてガムテープで補修されていたりしますが、そんなジャンクな雰囲気もたまりません。とりあえずは晴れた日にタワシでごしごし洗うとします。